Wi-Fiの2.4GHzと5GHzを比較!各周波数のメリットとデメリット

2020年2月22日

Wi-Fi(無線LAN)のルーターを選ぶときに「2.4GHz」や「5GHz」、「IEEE802.11」などの表記を目にすると思います。これらは「通信規格」や「周波数帯」のことで、Wi-Fiの性能を表している基準です。そこで今回は、Wi-Fiのルーターを選ぶときに知っておきたい知識として、通信規格や周波数帯とは何なのか。それぞれの違いやメリット・デメリット、選ぶポイントをご紹介します。

 

Wi-Fiの通信規格と周波数帯とは?

日本ではWi-Fi(無線LAN)に「IEEE802.11 b/g/a/n/ac/ad/ax」の7つの通信規格、「2.4GHz」「5GHz」「60GHz」の3つの周波数帯が採用されており、各通信規格には対応する周波数帯が決まっています。では、それら通信規格と周波数帯とは何を表しているのでしょうか。

 

通信規格とは帯域幅を定めたもの

Wi-Fi(無線LAN)の通信規格とは、「信号の帯域幅」を定めたものです。1997年6月にWi-Fi Allianceによって規格が統一され、最初の規格は「IEEE 802.11」と定められました。以降、通信技術の発展にともない次々と新しい通信規格が発表されるのですが、現在、日本では「IEEE 802.11 b」「IEEE802.11 g」「IEEE 802.11 a」「IEEE802.11 n」「IEEE 802.11 ac」「IEEE802.11 ad」「IEEE 802.11 ax」の7つの規格が採用されています。

 

なお、「11 b」「11 g」「11 a」「11 n」「11 ac」までが一般にも普及しており、「11 ad」11 ax」は新しい規格として各通信機器メーカーが商品の開発をすすめています。

 

周波数帯とは電波の道路の広さ

Wi-Fi(無線LAN)の周波数帯とは各通信規格に採用されている「帯域幅の単位」です。「GHz(ギガヘルツ)」とも表記されます。現在、日本ではWi-Fiの周波数帯として2.4GHzと5GHz、さらに60GHzの3つが採用されており、各周波数帯によって通信速度や特徴は異なります。

 

ちなみに、周波数帯は「道路」に例えられることが多く、帯域が大きいものは広い道路、帯域が小さいものは狭い道路というイメージです。道路が広ければ1度にたくさんの車が通れますし、目的地まで早くたどりつける。同様に、周波数帯が大きいものほど、1度にたくさんの情報を運べるためそれだけ通信速度を速くできるわけです。

 

ただし、周波数帯は大きければいいというものではなく、それぞれに特徴があるため環境によって得手不得手が変わります。どの周波数帯を利用するかで通信環境の繋がりやすさ、実際の通信速度に影響してきますので、Wi-Fiを選ぶときの重要な指標になるのです。

 

通信規格と周波数帯の関係表

先述した、Wi-Fiの通信規格と周波数帯の関係、さらに最大通信速度も表にまとめましたので確認してみてください。なお、「IEEE802.11b」が古く、下へいくほど新しい規格となります。

 

通信規格 周波数帯 最大通信速度
IEEE802.11b 2.4GHz 11Mbps
IEEE802.11g 2.4GHz 54Mbps
IEEE802.11a 5GHz 54Mbps
IEEE802.11n 2.4GHz 600Mbps
5GHz
IEEE802.11ac 5GHz 6.9Gbps
IEEE802.11ad 60GHz 6.8Gbps
IEEE802.11ax 2.4GHz 9.6Gbps
5GHz

 

※「bps」とは、1秒間に転送されるbit数、通信速度の単位を表しています。

※最大通信速度は理想的な環境下での速度を表記したものです。

 

Wi-Fiの2.4GHzのメリット・デメリット

上記の表からも分かる通り、2.4GHzは「IEEE802.11b」からある周波数帯です。電子レンジやコードレス電話機、ヘッドホン、BluetoothなどWi-Fi以外にも使用されており、「普及型の周波数帯」とも呼ばれています。では、2.4GHzのメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

2.4GHzのメリット

2.4GHzの1番のメリットは周波数が小さく、電波が遠くまで届きやすい点です。それもただ遠くまで届くのではなく、周波数が小さいことで障害物のわずかな隙間も透過しやすい。壁や床、天井などにも影響されにくく、隣の部屋や階をまたいだ距離の離れた通信が得意です。

 

さらに、1999年に規定された「IEEE802.11b」から存在している古い周波数帯ですが、最新の「IEEE802.11ax」でもなお使用されています。そのため、スマホやタブレットはもちろんのこと、Wi-Fiが登場したころの古い端末までおよそ対応しているのも2.4GHzならではです。

 

2.4GHzのデメリット

2.4GHzはWi-Fi以外にも採用されている一般的な周波数帯です。そのため、他の製品が発信する電波とWi-Fiが干渉しやすいことが問題点として挙げられます。一軒家であればキッチンやリビングなど、家電の多いところほど干渉しやすく通信環境が不安定になりやすいのです。

 

また、遠くまで届きはするものの、2.4GHzは5GHzと比較して通信速度は速くありません。これは2.4GHzの帯域幅は小さく、1度に通れる情報が限られてくるためです。道路であれば車線の本数が少なく、車幅も狭い。1度に多くの車(情報)が通れないので速度が出にくいわけです。

 

Wi-Fiの5GHzのメリット・デメリット

2.4GHzが普及型なのに対して、5GHzはWi-Fi(無線LAN)以外ではほぼ使われていない周波数帯です。だからこそのメリット・デメリットがあるので、ひとつずつ確認していきましょう。

 

5GHzのメリット

5GHzのメリットとしては、主にWi-Fiでのみ使用されていることです。今日では家電やBluetooth機器以外にも様々な製品が電波を発信していますが、5GHzであればそれら他の電波と干渉することはまずありません。2.4GHz以上に安定した通信が期待できるでしょう。

 

さらに、通信規格と周波数帯の関係表から分かるように、5GHzは一般に普及している「IEEE802.11ac」と対応しており、その際の最高通信速度は6.9Gbpsです。これだけの速度があれば高画質の音楽や動画を視聴したり、オンラインゲームもストレスなく楽しめます。

 

5GHzのデメリット

速さと安定を兼ねそなえる5GHzですが、一方で、障害物に弱いのがデメリットです。というのも、5GHzは周波数が高いため障害物の隙間を通り抜けにくく、電波が減退しやすい。壁や床、天井などはもちろん、本棚のようなちょっとした障害物でさえ影響する可能性があります。

 

ただし、最近ではWi-Fiの通信技術はさらに進歩しているので、周辺環境が原因で5GHzの通信が不安定になることはあまりありません。それにもし障害物により通信が不安定になっているのだとしても、ルーターを移動させるなど工夫をすれば多くの場合で改善できます。

 

2.4GHzと5GHzの比較表

先ほどご紹介した、2.4GHzと5GHzのメリット・デメリットを比較表にしてみました。2.4GHzは遠距離タイプで汎用性が高くて、5GHzは短距離タイプで速度特化という印象ですね。

 

 

周波数帯 メリット デメリット
2.4GHz ・障害物に強くて遠くまで届きやすい

・対応機器が豊富で古い機種も使える

・電波干渉で不安定になりやすい

・5GHzに比べて通信速度が遅い

5GHz ・2.4GHzに比べて通信速度が速い

・電波干渉を受けにくく安定している

・2.4GHzに比べると対応機種は少ない

・障害物に弱くて通信距離も短い

 

 

Wi-Fiの2.4GHzと5GHzを選ぶポイント

ここまで、Wi-Fi(無線LAN)の性能を表している通信規格と周波数帯、中でも2.4GHzと5GHzのメリット・デメリットをまとめてきました。では、Wi-Fiの基本的な知識を確認したところで、結局のところWi-Fiルーターを選ぶのなら2.4GHzと5GHzのどちらがいいのでしょうか。

 

2.4GHzと5GHzの特性を理解する

2.4GHzは古くからあり、周波数が小さいために障害物を通過して遠くまで届きやすい。ただし、様々な電化製品に採用されていることから、混線しやすいという問題も抱えています。5GHzは比較的に新しい周波数帯で、主にWi-Fiでのみ使用されていて通信が安定しやすい。しかし、周波数が大きいので障害物にぶつかりやすく、環境によっては十分な性能を発揮できません。

 

このように、2.4GHzと5GHzにはそれぞれ特性があります。そのため、Wi-Fiを選ぶ上ではそれら周波数帯の特性を理解して使い分けることが欠かせません。しかし、最近では音楽や動画など1回のインターネット通信に求められるデータ容量は大きくなっています。このことを考慮すると、結局のところは速度特化の「5GHz」を基準として選ぶのがいいのでしょう。

 

ルーターが複数の規格に対応している

Wi-Fiは5GHzを基準に選ぶとしても、5GHzのみだと環境によっては十分な性能を発揮できずに困ります。そこでおすすめしたいのが、複数の通信規格に対応しているルーターです。例えば、「11 g」と「11 a」の2つの規格に対応していれば、たとえ「11 a」の5GHzでは繋がりにくい環境でも、「11 g」の2.4GHzでは安定した通信が可能になります。

 

また、対応する通信規格がひとつだけだと、複数の端末から接続した際に回線をシェアすることになり、通信環境が圧迫されて速度が低下することがあります。その点、複数の通信規格があればそれぞれの規格に端末を分散でき、速度も安定しやすいです。最近では家電でもWi-Fiに接続できる機種が増えていますから、複数の通信規格に対応しているメリットは大きいでしょう。

 

なお、ルーターは最新のものほど複数の通信規格に対応しています。現行の最上位モデルともなれば、お値段はしますが「11 b」「11 g」「11 a」「11 n」「11 ac」の主要な通信規格のすべてに対応しているほど。どれを選べばいいか迷う場合は、最新を選ぶのもひとつの手です。

 

ルーターと端末の対応する規格を揃える

通信環境の速度や安定を考えるのなら、「IEEE 802.11 ac」以降の新しい規格を選択するべきです。しかし、実際には新しい規格のWi-Fiを導入したからと、必ずしも環境が改善するとは限りません。なぜならWi-Fiに対してスマホやタブレット、パソコンなどの端末側が対応していない場合があり、対応していない端末ではWi-Fiに接続さえできないのです。

 

ですので、新しくWi-Fiルーターを購入するのなら、今、使用している端末が2.4GHzと5GHzのどちらか一方、または両方に対応しているのか確認しておきましょう。最近の端末であればまず両方に対応しているのですが、古い端末ですと「2.4GHzのみ」ということもあります。

 

ちなみに、端末と規格の対応については、2014年に規格された「IEEE 802.11 ac」がひとつの分岐点です。「11 ac」以前の端末は5GHzに対応していないものも多く、反対に以降の端末は大抵が対応しています。端末に対応する規格を調べる際の基準にしてみるといいでしょう。

 

ルーターの接続可能数も考慮しておく

ここまで、2.4GHzと5GHzの特性を基準にしつつ、Wi-Fiルーターを選ぶのなら複数の通信規格に対応する機種を選ぶべきと紹介してきました。通信環境の速度、安定だけを考えるのであればそれでいいのですが、できればWi-Fiルーターの接続可能数も考慮しておくとなおいいでしょう。

 

接続可能数とはWi-Fiルーターが1度に接続できる「端末の数」です。例えば、接続可能数が10台のルーターであれば、スマホが4台にタブレットが2台、パソコンが2台のように合計10台まで同時に接続できます。もし端末が11台であれば、どれか1台はWi-Fiに繋げられないわけです。

 

では、接続可能数の多いルーターを選べばいいかというとそうではなく、接続可能数の多い機種ほど高価になります。端末が1台、2台しかないのに接続可能数が10台以上のWi-Fiルーターを購入してももったいないだけ。ただし、端末の数と接続可能数を合わせて購入すると、後から端末が増えたときに困るので、ルーターは接続可能数が少しだけ余裕のあるものがおすすめです。

 

5GHzをベースに2.4GHzも上手に活用!

今回は、Wi-Fi(無線LAN)のルーターを選ぶのに役立つ、通信規格と周波数帯とは何か。一般に普及している2.4GHzと5GHzのメリット・デメリットについてまとめてきました。

 

・2.4GHzは遠距離と障害物に強いが、他の機器と混線しやすい

・5GHzは通信速度が速くて混線しにくいが、遠距離や障害物には弱い

 

結論としては、最近のWi-Fiの通信技術では、5GHzの遠距離や障害物に弱いという弱点はあまり気にする必要はありません。通信速度が速い5GHzを基準に選べばいいでしょう。

 

その上で、環境に合わせて2.4GHzも上手に活用する。複数の通信規格に対応しているWi-Fiルーターを選択すれば、様々な環境でも高速かつ安定した通信環境を得られるはずです。